突然消えてしまった彼

公開日: : 最終更新日:2015/12/27 恋愛体験談

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現在、30代後半の女性です。結婚して子どももおり、お金はなくてもそこそこの平凡な幸せを享受して生きている…そんな風に常日頃思っているのですが、時々夢を見て夜中に目が覚めることがあります。

中学生時代に「恋人だった」Y君の夢は、私に幸せと、そして不幸をいっぺんにもたらします。

子どもだった私たちが、本やお話の外で、初めて出会った現実の『恋』だったと言えます。Yくんは、特殊な家庭の事情を持っていました。

ごく普通には、ちょっと皮肉っぽくておちゃらけていて、でも気が付くといつも私のそばにいる。たいていは無言なのですが、何かを私に言いたいということは肌で感じていました。

交際とかつきあうとか、そういった言葉で周囲に定義されるのが嫌だったのです。私たちは何となくいつもそばにいて、いつも一緒にお弁当を食べ、そしてよく一緒に下校しました。
彼も私も、ぼつぼつと本の話ばかりしていました。二人とも本の虫だったのです。

中学生と若いのだから、もっと熱心に恋愛をするんじゃないのかと思われそうです。私自身、なぜ彼とあすこまで「静かな」恋愛関係を維持できていたのか、不思議に思います。

あるいは彼も私も、交際を始めて、そしてお互いのがんじがらめになる一線を越えるのが怖かったのか。恐らくはそうです。

夏休み間近のある時、蒸し暑い夕闇を私たちは帰路についていました。

「お前さあ、」

彼はいつも通りぶっきらぼうに言いました。

「髪伸ばせよ。その方が俺、お前のこと好きだ」

そう言って前を向いてしまい、あとは何も言わずに家について別れてしまいました。

不器用な告白、彼からの歩み寄りだったと思います。

ですがその後数日間、休みに入るまでは私は部活が忙しく、彼と二人で話すことはできませんでした。

夏休み中、彼は転校していってしまったのです。
親たちの噂で、ご両親が離婚だか別居となって、Y君は遠い地へ行ってしまったのでした。

あの時代にメールがあったら、私たちの運命も変わっていたかもしれません。
ですが、フェイスブックなど「ひとさがし」のできるツールがある現在でさえ、私は彼を見つけてしまうのが怖くて、SNSは一切関わっていません。

夢の中の、13歳のY君の面影は私を過去へと連れ出し、幸せな記憶を味わわせてくれます。
一方で、Y君の不在がその後の私にもたらした寂しさ、不幸も追体験することになります。

もう、私たちが巡り合うことはないでしょう。彼が世界のどこかで、幸せであってくれればそれでいい。そう願いながら、私も私自身の小さな幸せを胸に守って生きていきます。

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